About Us

本研究会は,世界史的視点から「糸・布・衣」の生産,流通,消費,所有, 使用,再利用を統合的に考える共同研究プロジェクトです。特定の時代・地域に限定されない横断的な議論をめざしますが,18~20世紀における「糸・布・衣」の市場創出を中心的なテーマとします。

研究会は,歴史学,経済史,服飾史,美術史,文化人類学,カルチュラル・スタディーズなど幅広い領域を専門とする国内外の研究者によって構成されます。関心をもつ人々に広く議論の材料を提供し,相互交流することを意図して,研究会・シンポジウムを定期的に企画し,情報を発信していきます。また,共同事業として,「糸・布・衣」の現地名での呼称をはじめ,情報のデータベース化をすすめていきます。

「糸・布・衣」を対象にしていますが,その真意は,それらを扱うことで,モノの循環を世界史として叙述し,それらのグローバリゼーションをめぐる諸問題について答えていくことにあります。従って,「糸・布・衣」の専門家以外の研究者の方々の参加を歓迎します。

 また「糸・布・衣」という表現は,原料調達からファッション流通,再利用まで繊維素材のあらゆる形態に着目することを意味しています。「繊維」と「衣服」とせず「布と衣」とすることで,裁断や縫製を経ずに使われ,纏われる布の視点を大事にしたいという意図もあります。更に, 異なる繊維素材を「跨いで」,用途を見据えて考えることも重視しています。

「循環」という表現には,第1に,繊維物資が生産から流通,消費,所有, 使用,再利用へと,部門間を単線的に流れるのではなく,形態を変えながら各部門を何度も行き来する点に着目するという意味があります。第2に,そのプロセスのなかで,モノが複数の地域を移動し,ときには回帰することも「循環」としてとらえています。モノの価値自体が,その移動のプロセスのなかで,循環的に形成されると考え,先発国から後発国へというリニアな流れをこえて,分節化したグローバルな市場を巡回するかたちで,モノの価値形成をとらえることを目指します。

具体的な分析の視点としては以下7点があります。

  1. 糸・布・衣のコモディティ・チェインの再構成
  2. 繊維およびその関連素材の効率的利用の進展と,それが産業・流通構造に与えた影響
  3. 商品の「汎用性」「流通性」の獲得と,その社会経済的背景
  4. 「ファッション」の成立過程
  5. 流通チャネル・決済システムの維持と革新
  6. 糸・布・衣の所有・利用をめぐる社会・文化制度
  7. 史料と方法論,および研究成果の公開・共有方法の追究

この研究会は東京大学東洋文化研究所の羽田正教授が主催する拠点形成計画,グローバル・ヒストリー・コラボラティブ(GHC)の一環として運営されています。GHCは,プリンストン大学・フンボルト大学・ベルリン自由大学・社会科学高等研究院と東京大学との間の,グローバル・ヒストリー共同研究拠点形成プロジェクトです。研究会の前身は同じく羽田正教授が主催した「ユーラシアの近代と新しい世界史叙述」(2009~2013年度 日本学術振興会科学研究費補助金・基盤研究S)のサブ研究会,「セカンドハンド研究会」にあります。当「糸・布・衣の循環史研究会」は,これらのプロジェクトを通じて交流を得た国内外研究者と協力しあいながら運営されています。また当研究会は,2014年度秋より,政治経済学・経済史学会のフォーラムとしても活動しています。2015~2019年度については,科学研究費補助金・基盤研究(B)「18~20世紀の糸・布・衣の廉価化をめぐる世界史」において資金を得ています。(⇒Partners参照)

organization

The project “Linking Cloth-Clothing Globally” aims to describe 18th-20th century’s interconnected history of textile fibres, threads, textiles and garments from global perspective. It sets “Global Depreciation of values in the textile-related products” as its main theme. The globe shared and circulated increasingly cheaper commercialized cloth and clothing in 18th-20th century. This project sees penetration of cheaper cloth or clothing not as a simple and automatic process but as a process that accompanied structural changes in the global commodity chains, as well as transformations in the dress value systems in local, regional and global level. The project aims to describe that process focusing mainly on 1700- 1960. It invites scholars from multiple fields to join.